どれくらいの投資が適正なのか

具体的な事例を考えてみる。新たに資産形成を考える人が相談に来た。 退職金1,000万円を元に資産形成したいので大きなリスクをとりたくないという。株式と債券を組み入れ内外のバランス型ファンドによる運用を考える。資金のうちまず手始めに、100万円をこの投資信託に託したいと考えている。始めから大きい額を投資することは怖いためだ。バランス型ファンドの下落リスクは、平常時では1割程度、リーマンショック時の最大下落率では3割強程度だった。投資初心者のため、リスクを設定は3割とか、比較的大きめにしたほうがいい。

また、許容リスクのことは考えていなかったので、提案としては、堅実に見て全体の1割弱程度のお金を前提とした。そうであれば、バランス型ファンドには、許容リスクと投資対象リスクから、約160万円までは投資できることができる。この金額であれば、平常時の価格変動(1割程度)による影響はお金全体の1割強である。またリーマンショックのようなものが起こっても48万円となり、お金全体の1,000万円からみても5分の範囲内に収まる。外国債券であれば、リスクは大きく見積もって2割程度の250万円までは投資できる。

この人は、バランス型ファンドに対して、当初の100万円ではなく150万円を投資に回すことにした。投資による損失の可能性を一定範囲に抑えられることを理解したからだ。このように、具体的な数値を示し、顧客のリテラシーを踏まえ、投資を恐れている顧客に対しでも、資産形成をアドバイスすることで、適正な投資に導くことができる。将来的に投資に対する理解が深まれば、許容リスクを引き上げる余裕がうまれ、資産形成の可能性も広がり、既に投資を行っている人に対しでも投資適正を確認することができる。